大型船で一気に行くか?小型船でいろいろ寄りながら行くか?

前回の続きです。(システムの設計図は安全に航海するための海図と同じという話

前回はシステムの仕様書とは建物の設計図であり、海を安全に航海するための海図と同じだということを書きました。
だから仕様書は細かいくらいにきっちり書こうとしますし、
抜け漏れがあったということは、危険な海流や海域が把握できないということなので、
きちんと書きましょうね、というお話です。

今回はその続きで、スモールスタートが叫ばれるのはなぜか。について、
海図や航海を例にお話しできればと思います。
スモールスタートというのは、基本的な部分、コアな部分だけシステムを作ってしまい、
お客様の声を取り入れながら、システムを大きくしていく開発形態のことです。

ちょっとある場面を想像してみてほしいのですが。
あなたは10Km先の島に向かって船を出そうとしています。
ルートは2つ。
1つは小型船で1Kmずつ小島に寄って一休みしながら進むルート。
もう1つは、大型船で一気に10Km先まで進むルート。
さてあなたはどちらを選びますか?

どちらが間違いというわけではありませんが、
スモールスタートというのは、前者の島に寄りながら進むみたいなものだと思ってください。

前回の投稿で設計に誤りがある=海図に記しているべき海流が漏れているという話をしましたが、仮にこういうことが起きて、船が傷ついても小島に寄ることで船の修理ができたり、軌道の修正が楽になったりします。
またとりあえずは次の小島につくまでの、燃料や材料さえあればいいので、小回りもききやすくなります。
そして最大のメリットとして、小島に寄ったことで、その島で貴重な資源などが手に入ることがあります。
これは実際のシステムでいうとお客様の声です。
また特に技術革新が速い現代では、1つの島から島へ渡っている間に画期的な技術が生まれている可能性があります。
お客様の声と技術革新の取り込みによって、最後目指す場所を変更したり、もっと早く着けるようになったりということができるようになります。

この辺りがスモールスタートや付随してアジャイル開発と呼ばれるものが人気の理由かなと思います。

一気に目的地に行く方法が悪いわけではありません。
上に書いたようなメリットがない代わりに、目的地まで最短距離で進むことができるので、
時間がかからず、どこまで進んでいるかの進捗把握も容易です。

いい悪いではなく使い分けるのが大事です。
またこの分け方自体おおざっぱに分けているので、実際に何か作る場合は、
専門の方の意見を聞いてみるのがいいと思います。

世の中のシステム開発が人々の幸せに寄与することを願って、今回は締めたいと思います。

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